2011年06月20日

判例/監視カメラによる店内撮影等と肖像権

  某著名人がコンビニで、店内の監視カメラに撮影され、その映像を再生したところ、その挙動から商品を万引きしているものと判断されました。以前からテレビ局の下請制作会社から万引き増加を題材とした番組作りに協力を求められていたコンビニ経営者は、この映像に係る動画ファイルを制作会社に提供した結果、テレビ番組で放映されました。監視カメラを納入設置した業者は、前記テレビ番組の一部を抜粋、編集した動画を自社のホームページに掲載したほか、某著名人が映っている部分を編集し、販促用DVDを製作し、展示会において、これを放映し、配布するなどしました。そこで、某著名人(の遺族)がコンビニ経営者と監視カメラ納入設置業者に対し、肖像権及びプライバシー侵害を理由に損害賠償を求めた事案です。
東京地方裁判所は、平成22年7月26日、概略、次のように判示しました。即ち、ある者の私生活上の姿を撮影し、その撮影に係る画像を公表等した場合であっても、公表等されない利益と公表等される利益とを比較衡量して、肖像権(判決上の表現は、「肖像に係る人格的利益」)及びプライバシー権の侵害が社会生活上受忍限度内にあると判断される場合などには、不法行為法上違法であるとはいえない。監視カメラは、店舗を訪れた客の個別的承諾を得ることなく、姿を無差別に撮影するものであるが、撮影の目的、必要性、方法及び撮影された画像の管理方法並びに提供の目的、必要性及び方法等諸般の事情を総合考慮して、撮影・公表される利益と撮影・公表されない利益とを比較衡量して社会生活上の受忍限度を超えるかどうかを基準にして違法性を決すべきである。本件において諸事情を総合考慮すると、監視カメラにより撮影すること、当該動画ファイルを報道機関に提供することによりこれを公表等したことは、社会生活上受忍限度を超えるものではなく、違法ではないが、監視カメラを納入設置した業者の前記行為(HPに掲載・DVD作成・放映・配布)は、某著名人が店舗内で万引きをしたとの印象を与えるものであり、また自社製品の販売促進を目的としており、専ら公益を図る目的があったとは認められないし、他に社会生活上受忍限度内であるとすべき事情もなく違法である。


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